【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「き、君はっ。自分で何を言っているのかわかっているのか? 俺は三十五だぞ? そろそろ三十六だ。じじいだぞ?」
 そう言われてシャーランがアダムの方を向けば、彼も顔を真っ赤に染め上げて必死に言葉を口にしていた。
 そこで「うぉっほん」とわざとらしく咳払いをしたのは、宰相である。確か彼は、四十歳を過ぎたはず。
「アダム。君がじじいなら、我々は何になるんだろうか? じい様だろうか?」
 宰相は国王に視線を向け、四十歳を超えた自称じい様が顔を見合わせている。
「いやいや、お二人には年相応のお相手がいらっしゃいますよね。俺の相手、若すぎませんか?」
「だがなぁ。相性率は95パーセントなんだ。そこをなんとか」
 まるで露店の値切りでもするかのように、国王は手をすりすりとすり合わせていた。
「では、お試しで……」
 そう口にしたのはシャーランだ。
 この言葉も彼女にしては頑張った方である。
 理想の男性がいるのだから、お試しでもなんでも手に入れるべきだと、シャーランの心が訴えている。侍女仲間に言わせても「何が何でも手に入れろ」となるだろう。
「ほら、アダム。シャーランもこう言っていることだし。な?」
 どうやら国王は世話好きのようだった。
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