【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「しかも、こちらの情報によると、だ。シャーランはかなりの人見知りで口下手とのこと」
 宰相の言葉にシャーランは何度も頷いた。
「いやいや、それ、嘘ですよね? 今、俺、彼女からかなりぐいぐい攻められてますが?」
 嘘じゃないという意味を込めて、シャーランは首を横に振った。
 ふとアダムの目元が緩んだ。
「なんか、小動物みたいだな……」
 シャーランは驚いて目を大きく開く。
(小動物……。むしろ、アダム様の方が猫っぽいのに……)
「陛下からのお話なので……。かなり、頑張ってみました……」
 心の中のシャーランが「頑張ったよ」と労ってくれる。それくらい、シャーランは自分の気持ちを口にしたと思っている。
「こんなかわいいお嬢さんが頑張っているんだ。どうだい? アダム。お試しに付き合ってみたら」
 世話好きの国王が、パチンと手を叩いた。
 アダムは困ったようにおでこをポリポリとかいていた。
「まあ、シャーラン嬢がこんなじじいでもいいと言うのであれば……」
(折れた! 折れてくださった。ポキっといった)
 シャーランの心の中は歓喜で溢れ始めた。だが、それを表情に出すようなことはしない。
「あ、はい……。よろしくお願いいたします」
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