【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「どうかしましたか?」
「いえ。その……。こうやって誰かに魔導書を薦められたのも初めてだったので」
「ですが、あなたは魔法騎士ですよね。魔法の勉強をされてきたのではないですか?」
「ですが。学園時代は騎士科だったので、魔法は独学なんです」
 いくら騎士科であっても、魔法の素質があれば追加授業でその魔法の授業も受けるはずだが。
「独学、ですか。少し、魔力を()てもよろしいですか?」
 独学で魔法を学んだということが、クリスは少し気になった。そのわりには仕える属性が三つもあるところが気になる。
 もしかして、もしかしなくても、きちんとした魔力鑑定も受けていないのではないだろうか。
「その……。魔力を鑑るというのは、どのようなことなのでしょうか」
「今までそのようなことをされたことは無いのですか?」
「あ、はい。その。最初はただの護衛騎士だったのですが。その、見様見真似で魔法付与をやってみたらできたわけで。それで、その団長に相談したら、魔法騎士にという話になりまして。だけど、ジェシカ様の護衛騎士として務めていたわけですから、今さらそこから離れるというわけにもいかなくて。それでそのまま、護衛騎士を務めております。それに、ジェシカ様もこれから外交が多くなりますので、ただの護衛騎士よりも魔法騎士が護衛についたほうが、いろいろと安心であるという、その陛下からのお言葉もありまして」
 クリスにとっては気になるキーワードが出てきた。
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