【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
彼の言う精の放出は、女性側にとっては達するという意味だ。男性側は分かりやすいが、女性側にとってはそれが該当する。
だから、彼女がクリスと性交すれば死ぬ、ということを彼は遠慮なく口にしているのだ。
令嬢は彼を見上げると、ゴクリと喉を鳴らして口の中に溜まったその唾を飲み込んだ。緊張によるものだろうか。むしろ、恐怖によるものか。
彼を知る女性であるならば、彼になら一度くらい抱かれても良い思い出になるかもしれない、など淡い期待をしていたところはあるだろう。だが、命と引き換えにと言われてしまうと、悩む。というか、逃げ出したい。むしろ土下座されてもお断りしたい。
彼女も相手が悪かった。クリスでなく他の魔導士であれば、枯渇するほど生命力を奪われるようなことは無いのだ。ただ、事後に疲れ果てて、うとうととする程度で済んだはず。
「そのような覚悟がないにもかかわらず、私と結婚したいだなんて、考え直したほうがよろしいのでは? さっさと、私の前からその醜い姿を消し去ってください」
クリスは妖艶に笑んだ。そしてそれはどこか彼女を見下しているようにも見える。
「あ……、ごめんなさい」
その令嬢は、ついたお尻をなんとか持ち上げると、すぐさまその場から逃げ去った。それはもう、恐ろしい魔獣から逃げ去るかのように。転びそうになりながら走って逃げた。
だから、彼女がクリスと性交すれば死ぬ、ということを彼は遠慮なく口にしているのだ。
令嬢は彼を見上げると、ゴクリと喉を鳴らして口の中に溜まったその唾を飲み込んだ。緊張によるものだろうか。むしろ、恐怖によるものか。
彼を知る女性であるならば、彼になら一度くらい抱かれても良い思い出になるかもしれない、など淡い期待をしていたところはあるだろう。だが、命と引き換えにと言われてしまうと、悩む。というか、逃げ出したい。むしろ土下座されてもお断りしたい。
彼女も相手が悪かった。クリスでなく他の魔導士であれば、枯渇するほど生命力を奪われるようなことは無いのだ。ただ、事後に疲れ果てて、うとうととする程度で済んだはず。
「そのような覚悟がないにもかかわらず、私と結婚したいだなんて、考え直したほうがよろしいのでは? さっさと、私の前からその醜い姿を消し去ってください」
クリスは妖艶に笑んだ。そしてそれはどこか彼女を見下しているようにも見える。
「あ……、ごめんなさい」
その令嬢は、ついたお尻をなんとか持ち上げると、すぐさまその場から逃げ去った。それはもう、恐ろしい魔獣から逃げ去るかのように。転びそうになりながら走って逃げた。