【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
 また、フローラは顔中を真っ赤に染め上げる。少し、彼女を煽るような言葉をかけるとすぐに表情に出るところが面白い。そして、可愛らしい。
「冗談ですよ。ところでフローラは、なぜ騎士になろうと思ったのですか?」
 彼女は騎士団に入団してから魔法騎士になった。普通は逆だ。魔法が使え、武器に魔法付与が行える者が魔法騎士になる。それは学園を卒業するまでに分かること。
 つまり、彼女は学生時代には自分が魔法を使えるということを知らなかったのだ。
 だが、学園に入学するときには、少なからず魔力量の鑑定をされるはず。それをすり抜けてきたのだろうか。
「あ、はい。父が騎士でしたので」
 無難な答えだった。騎士である者に聞くと、その半数以上から返ってくる答えがこれ。それ以外は、お金のため、困っている人を助けたいから、かっこいいから、と続く。
「フローラの母君は何をされているのですか?」
 父が騎士なら、彼女の魔力は母親譲りだろうと考えたクリス。
「あ。その。母は、私を生んですぐに亡くなってしまったので。その、詳しくは私も知らないのです」
 空気が読めないととく言われるクリスだが、こういうときは素直に謝るべきなのだろうと思った。
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