【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
6.二人の団長
魔導士の仕事は、その魔法の研究だったり、魔獣の討伐だったり、怪我や病気をした人の治療だったりと多岐にわたる。その中で副団長を務めているクリスはその中でも研究を専門としている。研究といっても新しい魔法の術式を考案し、それを実務で使えるようにすることが主だ。そして、たまに魔獣討伐へ赴く。
これはクリスの特殊な魔力のせいでもあった。
先日買った魔導書片手に、魔法の研究に励んでいたクリスの元を、ノルトが訪れた。
「おい、クリス。ちょっと、俺の執務室まで来てくれないか?」
いつもの如く、手をおいでおいでと振ってみた。クリスは、ものすごく行きたくない、という顔をしているが、それもいつものこと。ノルトはそれに負けずと、手を振っている。
ノルトに呼び出されたクリスは、いつものように彼の執務室のソファにどさりと座った。その行動の節々から、嫌そうにしている感じはする。
話が長くなりそうであったため、ノルトはお茶を出した。
「で、どうだったんだ? フローラ嬢とのデートは」
「ああ、団長はやはり私の惚気話が聞きたいのですね」
思わずノルトは飲んでいるお茶を吹き出しそうになった。惚気。この男からそんな言葉が出てくるとは思わなかったからだ。
「なんだ、惚気るくらいのところへ連れていって、惚気るくらいのことをしたのか」
「普通です。魔導書を見に行って、食事をして、帰ってきました」
これはクリスの特殊な魔力のせいでもあった。
先日買った魔導書片手に、魔法の研究に励んでいたクリスの元を、ノルトが訪れた。
「おい、クリス。ちょっと、俺の執務室まで来てくれないか?」
いつもの如く、手をおいでおいでと振ってみた。クリスは、ものすごく行きたくない、という顔をしているが、それもいつものこと。ノルトはそれに負けずと、手を振っている。
ノルトに呼び出されたクリスは、いつものように彼の執務室のソファにどさりと座った。その行動の節々から、嫌そうにしている感じはする。
話が長くなりそうであったため、ノルトはお茶を出した。
「で、どうだったんだ? フローラ嬢とのデートは」
「ああ、団長はやはり私の惚気話が聞きたいのですね」
思わずノルトは飲んでいるお茶を吹き出しそうになった。惚気。この男からそんな言葉が出てくるとは思わなかったからだ。
「なんだ、惚気るくらいのところへ連れていって、惚気るくらいのことをしたのか」
「普通です。魔導書を見に行って、食事をして、帰ってきました」