【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
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 クリスがノルトに呼び出されていた頃。フローラもアダムの執務室を訪れていた。それは先日、クリスから言われたことを相談するために。
「どうした、フローラ。まあ、そこにかけなさい」
 ソファに促される。それに従い、フローラはそこに腰を落ち着けた。
「何かあったのか? クリス殿とうまくいっていないのか?」
 そうアダムが思わず尋ねたくなってしまうほど、彼女の顔は緊張に包まれていた。
 国の政策だから、うまくいってなくてもうまくいっていると、彼女なら答えるだろうとアダムはわかっているのに、そう聞いていた。
「あ、いえ……。クリス様とはなんとか、良い関係を築けそうです」
「そうか、それなら良かった」
「その、クリス様のことでご相談があるのですが」
 アダムは眉尻をピクリと動かした。クリスのことで相談と言われても、恋愛沙汰の相談事は得意ではないアダム。彼だって、独身歴35年の男だ。得意であったならば、とっくにそれに終止符を打っている。
 彼女の口から紡ぎ出される言葉にちょっと嫌な予感をさせつつも。
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