【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
8.彼女の秘密
珍しくクリスは、自分の意思でノルトの執務室を訪れていた。
「で、どうだったんだ? フローラ嬢は」
クリスの姿を見た途端、ノルトはそう尋ねた。
「ああ。団長も私の惚気話が聞きたいのですね」
「惚気のほうじゃねえ、魔法の方だ」
残念ですね、とクリスは呟き、また勝手にソファへと座る。
ノルトも重い腰をあげて、彼の向かい側に座った。魔導士団団長として、あのクリスの相手の魔法騎士には興味がある。むしろ、興味しかない。
「やはり、彼女の魔力は封じられているようですね」
クリスの言葉に、足を組んで腕を組んだノルトはじっと耳を傾けていた。
「そもそも。見様見真似で魔法付与を行った彼女ですが、水が専門でありながら土と炎も使えるのですよ。三属性を操り、それも対立属性も扱えるとなると、一等級の魔導士並みですよ。それでも魔力が封じられている状態なのですから、もしかしたら彼女は特級魔導士なのかもしれません」
クリスの口から飛び出してきた一等級、特級といった魔導士のランク。その魔導士ランクは三等級から特級の四段階に分けられる。一番下位である三等級は、一属性のみの魔法を使える魔導士。二等級は仲間属性の二つを扱える魔導士。そして一等級はそこに対立属性の一つを含めて三つを扱える魔導士。特級魔導士は四属性全てを扱える魔導士、とランク分けされているのだ。
もちろん、団長と副団長を務めている彼らは特級魔導士。だが、残念なことに一等級魔導士が不在で、二等級の魔導士が五人いる、というのが現状。力ある魔導士の不足。それこそがクリスが巻き込まれている政略にいきつくのかもしれない。
「で、どうだったんだ? フローラ嬢は」
クリスの姿を見た途端、ノルトはそう尋ねた。
「ああ。団長も私の惚気話が聞きたいのですね」
「惚気のほうじゃねえ、魔法の方だ」
残念ですね、とクリスは呟き、また勝手にソファへと座る。
ノルトも重い腰をあげて、彼の向かい側に座った。魔導士団団長として、あのクリスの相手の魔法騎士には興味がある。むしろ、興味しかない。
「やはり、彼女の魔力は封じられているようですね」
クリスの言葉に、足を組んで腕を組んだノルトはじっと耳を傾けていた。
「そもそも。見様見真似で魔法付与を行った彼女ですが、水が専門でありながら土と炎も使えるのですよ。三属性を操り、それも対立属性も扱えるとなると、一等級の魔導士並みですよ。それでも魔力が封じられている状態なのですから、もしかしたら彼女は特級魔導士なのかもしれません」
クリスの口から飛び出してきた一等級、特級といった魔導士のランク。その魔導士ランクは三等級から特級の四段階に分けられる。一番下位である三等級は、一属性のみの魔法を使える魔導士。二等級は仲間属性の二つを扱える魔導士。そして一等級はそこに対立属性の一つを含めて三つを扱える魔導士。特級魔導士は四属性全てを扱える魔導士、とランク分けされているのだ。
もちろん、団長と副団長を務めている彼らは特級魔導士。だが、残念なことに一等級魔導士が不在で、二等級の魔導士が五人いる、というのが現状。力ある魔導士の不足。それこそがクリスが巻き込まれている政略にいきつくのかもしれない。