【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
クリスはフローラをぎゅっと抱きしめた。フローラは彼の胸元に顔が埋もれてしまい「苦しいです」とくぐもった声で伝えた。
「ああ、すみません。つい……」
慌ててフローラを抱いていた手を緩め、彼女の顔を覗き込む。
フローラの顔はほんのりと色づいていて、苦しくて顔が赤くなっているのか、先ほどの深い口づけの余韻で顔が赤くなっているのかはわからない。
「うーん、困りましたね」
クリスのその呟きに「どうかしましたか」とフローラは尋ねる。
「本当は明日、あなたを迎えに来るつもりでした。ですが今日はこのままあなたを連れて帰りたい」
ですが、迎えの馬車が……と、ぶつぶつ呟いている。
「あの」
思い切ってフローラが声をあげた。
「でしたら、私の家でもよろしいでしょうか? すぐそこですし。その、クリス様には御礼もしたいので……」
語尾が消え入りそうになるのは、彼女の気持ちの表れなのだろう。
「ですが、今。私があなたの家へお邪魔したら、今のような口づけだけでは済みませんよ?」
だからといって、彼女をクリスの自宅に連れ帰ったとしても、同じ結果になるのが目に見ている。
フローラはこくん、と頷いた。
「ああ、すみません。つい……」
慌ててフローラを抱いていた手を緩め、彼女の顔を覗き込む。
フローラの顔はほんのりと色づいていて、苦しくて顔が赤くなっているのか、先ほどの深い口づけの余韻で顔が赤くなっているのかはわからない。
「うーん、困りましたね」
クリスのその呟きに「どうかしましたか」とフローラは尋ねる。
「本当は明日、あなたを迎えに来るつもりでした。ですが今日はこのままあなたを連れて帰りたい」
ですが、迎えの馬車が……と、ぶつぶつ呟いている。
「あの」
思い切ってフローラが声をあげた。
「でしたら、私の家でもよろしいでしょうか? すぐそこですし。その、クリス様には御礼もしたいので……」
語尾が消え入りそうになるのは、彼女の気持ちの表れなのだろう。
「ですが、今。私があなたの家へお邪魔したら、今のような口づけだけでは済みませんよ?」
だからといって、彼女をクリスの自宅に連れ帰ったとしても、同じ結果になるのが目に見ている。
フローラはこくん、と頷いた。