【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
クリスは昂った気持ちを落ち着かせるかのように大きく息を吸って吐いてから、もう一度彼女を抱きしめた。
「ですから、あまり私を煽らないでください」
フローラの耳元で囁く。彼女の耳はぴくぴくと震え、薄い薔薇色に染まっていく。
クリスとしてはこのままここで押し倒したい気分だったのだが、遠くに人影が見えてきたためその気持ちを抑え込んだ。
ゆっくりと抱いていた腕を緩め、彼女を引き離すと、そっと手を差し出す。フローラは驚き目を開くけれど、そっとその手を握った。
「本当に、いいのですか?」
クリスが尋ねると、彼女はこくりと頷く。
今ならノルトが言っていた言葉をなんとなく理解できた。あのジェシカの護衛として務めているフローラと、今隣にいるフローラが同じ人物であるとは思えない。護衛騎士のフローラは凛々しく、隣にいるフローラは初々しい。クリスから見たらどちらも同じ彼女ではあるのだが、どうしてここまでも変貌してしまうのかは気になるところだった。それと同時に、他にはどのような彼女が潜んでいるのか、楽しみなところでもある。
「ですから、あまり私を煽らないでください」
フローラの耳元で囁く。彼女の耳はぴくぴくと震え、薄い薔薇色に染まっていく。
クリスとしてはこのままここで押し倒したい気分だったのだが、遠くに人影が見えてきたためその気持ちを抑え込んだ。
ゆっくりと抱いていた腕を緩め、彼女を引き離すと、そっと手を差し出す。フローラは驚き目を開くけれど、そっとその手を握った。
「本当に、いいのですか?」
クリスが尋ねると、彼女はこくりと頷く。
今ならノルトが言っていた言葉をなんとなく理解できた。あのジェシカの護衛として務めているフローラと、今隣にいるフローラが同じ人物であるとは思えない。護衛騎士のフローラは凛々しく、隣にいるフローラは初々しい。クリスから見たらどちらも同じ彼女ではあるのだが、どうしてここまでも変貌してしまうのかは気になるところだった。それと同時に、他にはどのような彼女が潜んでいるのか、楽しみなところでもある。