【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
 名前は番号で管理されているため、名前を書く必要は無い。ただ、該当する質問事項の回答欄にチェック、つまり、レをつけて欲しい、と宰相が説明する。これだけの人間が全ての質問を答えるために、十日という日数が必要だった。質問の内容は、どうやら1000もあったらしい。
 既婚者である宰相もその質問事項に答えてみたけれど、1000の質問に目を通して答えるというのは、なかなか骨の折れる作業であることを知った。城で働く者たちには、通常の業務もあるため、それに影響が出ないようにという配慮もしつつ、なんとか対象者全員にそれらを行ってもらうことができた。
 そうして統計学の専門家と心理学の専門家がそれらのデータを集計して解析した結果、結婚したらうまくいきそうな相性率50パーセント以上、というカップルはなかなか見つからないということがわかった。やはり、騎士団と魔導士団の人間というのは曲者が多いのだろうか。それとも、たまたまなのか。ただ、相性率が40パーセント台になると、十組前後。ここを推すべきか。
「なんと」
 声を高らかにあげたのは統計学の専門家の一人。
「どうした」
 他の専門家が、声をあげた専門家へと慌ただしく駆け寄る。
「驚異の数値だ」
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