【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
 まさかブレナンからそのようなことを聞かれるとは思ってもいなかった。
「あ、はい。そうです……。少し縁がありまして」
「君は、警備隊長のサミュエルと付き合っているのではなかったのか?」
 ここでもサミュエルだった。
「あ、その……。サミュエルとは別れました。別れてから、クリス様を紹介されまして、それで……」
「別れたのか?」
 その問いにこくんと頷くフローラ。それを見たブレナンは「そうか」とだけ呟いた。
「お似合いだったのにな」
 騎士団の連中は、サミュエルとフローラのことをいつもそう言っていた。お似合いの二人と。フローラにとっては、他人からそう言われるのが不思議だった。どこをどう見たらお似合いになるのか、と。
「クリス殿とはうまくやっていけそうか?」
「あ、はい。今のところは」
「そうか」
 そこでブレナンは手にしていた飲み物を一口飲んだ。
「君の魔力が少し変化しているように感じたからな。それで、聞いてみた」
「魔力……。変化……?」
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