先輩が愛してくれた本当のわたし
その日はそれで終わった。

けれどリカともう一人、恵梨香も初体験はまだだった。

恵梨香はリカよりもそういうことに興味津々で絶対に高校生のうちに処女を捨てると豪語し始めた。

そうなると段々とリカもそうしなくてはいけないような気持ちになってくる。

正直、迷いはあった。

だけどそんな話ばかりしているうちにリカも興味がわいてくる……ような気がした。

やり方とか、詳しいことはわからない。彼氏ができてキスをしてその先にエッチがあって、そういう行為で子供ができる……なんていう漠然とした知識しか持ち合わせていなかったけれど、考えるだけで鼓動が速くなるようで落ちつかない。

いつか自分もそういう心ときめく経験をするんだろうなと妄想に耽っていた。

「リカちゃん、今日、暇？」

「うん、今日はバイトないし、暇だよ」

いつも通り放課後どこかへ行くのかな、なんて軽い気持ちで返事をしたのだが、綾音は「よかったー」と胸をなで下ろす。

「彼氏の友達を紹介したくてさ。経験豊富だから優しくリードしてくれるよ」

「えっ？」

リカが戸惑っているうちに、綾音は彼氏にすぐにメッセージを送ってしまったようだ。

「ちょ、ちょっと待って。どういうこと？」

「だからぁ、処女捨てたいでしょ？　いい人紹介するね」

まるで悪びれることもなく、むしろ得意気に笑う綾音にリカはなんて返していいものか悩んだ。

「恵梨香ちゃんにも昨日紹介したんだ」

「……同じ人を？」

「まさかぁ。ちゃんと別の人だよ。気に入ってくれたみたいで、二人付き合っちゃうかも！　リカちゃんもそうなるといいね」

「……」

どうしようという気持ちと、どうなるんだろうという好奇心の狭間で揺れる。
いい人なら彼氏になってくれるだろうし、そうなれば自分のステータスも高くなる気がする。

ドキドキと速くなる鼓動は、放課後が近くなるにつれて増していった。
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