先輩が愛してくれた本当のわたし
「そうだな、可愛い」
「……お前が可愛いって言うな」
「航太が聞いたから言っただけだろ。変な嫉妬するのやめろよ」
「……わかってるよ」
ムスッと航太はむくれる。
いい歳した大人がなにをムキになっているんだと思わなくもない。
けれど、リカのことを可愛いと、好きだと思うのは自分だけでいい。
誰にも渡したくないくらいにリカへの気持ちが大きくなっている。
「なんか悩んでるのか?」
「まったく、杏介はほんと察しがいいな」
「飯くらいなら付き合うけど?」
「ありがたいけど、また今度頼む。今日は眠い」
航太はふあっと大きなあくびをして机に突っ伏す。
「休憩時間終わる頃に起こしてくれ」とくぐもった声で杏介に頼んで意識を手放した。
スコンと一瞬で深い眠りに落ちた航太は次に杏介に揺り動かされるまで爆睡していた。
よく寝たとまではいかないが、少しは体が楽になったような気がする。
「航太、睡眠不足なのか? そんなのでプール入ると危ないぞ」
「ああ、わかってる。だからさっき寝てたんだよ。それくらいの責任感はあるから大丈夫だ。……心配かけてすまん」
「ならいいけど」
「……杏介ってほんといいやつ」
「褒めてもなにも出ないぞ」
杏介は呆れたように肩をすくめる。
航太はうーん、と大きくのびをすると「さて、仕事でもするか」とロッカールームを出た。
事務室へ戻るとリカとバッタリ会い、航太の心臓がドクンと音を立てる。
リカに「あっ!」と指を差されてさらにドッキリと身構えた。
「小野先輩! どこ行ってたんですか。ちょっと手伝ってください」
「へ?」
言われるままフィットネスエリアへ赴き、器具の組み立てを否応なく手伝わされる。
チラリとリカをうかがい見ても、今朝二人の間であんなことがあったとは思えないほどにいつも通りだ。
(くそ、意識してるの俺だけかよ。情けねぇ~)
ガックリと肩を落としながら黙々と組み立てる。
「どうかしたんですか、先輩?」
不思議そうにコテンと首を傾げるリカに、「リカちゃんは今日も可愛い」と口走る。
「……真面目に仕事してもらっていいですか?」
冷ややかに告げられて航太はグスンと泣き真似をした。
「……お前が可愛いって言うな」
「航太が聞いたから言っただけだろ。変な嫉妬するのやめろよ」
「……わかってるよ」
ムスッと航太はむくれる。
いい歳した大人がなにをムキになっているんだと思わなくもない。
けれど、リカのことを可愛いと、好きだと思うのは自分だけでいい。
誰にも渡したくないくらいにリカへの気持ちが大きくなっている。
「なんか悩んでるのか?」
「まったく、杏介はほんと察しがいいな」
「飯くらいなら付き合うけど?」
「ありがたいけど、また今度頼む。今日は眠い」
航太はふあっと大きなあくびをして机に突っ伏す。
「休憩時間終わる頃に起こしてくれ」とくぐもった声で杏介に頼んで意識を手放した。
スコンと一瞬で深い眠りに落ちた航太は次に杏介に揺り動かされるまで爆睡していた。
よく寝たとまではいかないが、少しは体が楽になったような気がする。
「航太、睡眠不足なのか? そんなのでプール入ると危ないぞ」
「ああ、わかってる。だからさっき寝てたんだよ。それくらいの責任感はあるから大丈夫だ。……心配かけてすまん」
「ならいいけど」
「……杏介ってほんといいやつ」
「褒めてもなにも出ないぞ」
杏介は呆れたように肩をすくめる。
航太はうーん、と大きくのびをすると「さて、仕事でもするか」とロッカールームを出た。
事務室へ戻るとリカとバッタリ会い、航太の心臓がドクンと音を立てる。
リカに「あっ!」と指を差されてさらにドッキリと身構えた。
「小野先輩! どこ行ってたんですか。ちょっと手伝ってください」
「へ?」
言われるままフィットネスエリアへ赴き、器具の組み立てを否応なく手伝わされる。
チラリとリカをうかがい見ても、今朝二人の間であんなことがあったとは思えないほどにいつも通りだ。
(くそ、意識してるの俺だけかよ。情けねぇ~)
ガックリと肩を落としながら黙々と組み立てる。
「どうかしたんですか、先輩?」
不思議そうにコテンと首を傾げるリカに、「リカちゃんは今日も可愛い」と口走る。
「……真面目に仕事してもらっていいですか?」
冷ややかに告げられて航太はグスンと泣き真似をした。