先輩が愛してくれた本当のわたし
「先輩?」
「ん?」
「お腹すきません?」
「ペッコペコ! デートの続きしよーぜ。何食べる?」
ショッピングカートを戻しながら、二人はもう一度店内へ戻る。
歩きながらふと手が触れた。
「あっ」と思った瞬間に、航太はリカの手を自然と握る。繋がれた手から航太の体温が伝わってきてあったかい気持ちになった。
リカは航太を見る。
視線に気づいた航太もリカを見る。
「どうした? 何か食べたいものあった?」
「……先輩ってかっこいいですね」
「――っだぁっ、もうっ、リカちゃん! 嬉しいんだけど、嬉しいんだけど……いや、ほんとに、照れるからここでは止めて」
「ふふっ、小野先輩って照れ屋だったんだ。おもしろい」
「おもしろいって……このままかっこいい俺でいさせてくれよぅ」
航太は右手で顔を覆い、天を仰ぐ。手の隙間から覗く頬は心なしか赤くなっているようで、そんな反応が珍しくリカはクスクスと笑った。
「先輩、私、オムライスが食べたいな」
くいくいっと手を引っ張れば「ん、いいよ」と航太は微笑む。
「先輩は食べたいものないの?」
「オムライス大好きだから問題ないよ。さ、行こうぜ」
“航太はオムライス好き”という情報がリカの頭にインプットされる。いつか作ってあげたい……などと考えて、こんな気持ちになる自分を不思議に思った。
店内は混んでいて少し待つことになってしまったが、航太とは話が途切れず少しも苦ではない。店内に通された後もオムライスが運ばれてくるまで結構な時間が経ったというのに、この時間が楽しくて仕方なかった。
「リカちゃん、一口食べる?」
牛タンシチューオムライスを頼んだ航太がスプーンで器用に一口分切ってリカの皿にのせた。三枚ある厚切り牛タンも、惜しみなく一枚リカの皿へのせる。
「え、いいの?」
「いいよ。めっちゃ柔らかいから食べてみな」
「あ、じゃあ私も――」
とリカは自分の皿を見るが、航太にあげられるようなおかずはのっていない。どうしようかと迷っていると、「じゃあ一口ちょうだい」と航太はあーんと口を開けた。
リカは自分が注文したほうれん草とチキンのクリームオムライスをスプーンですくうと航太の口に運ぶ。パクリと食べる航太がゴクンと飲み込むまで目が離せないでいると「うん、美味い」とニカッと笑った。
胸がいっぱいになってそれだけでお腹が満たされていくようだった。
「ん?」
「お腹すきません?」
「ペッコペコ! デートの続きしよーぜ。何食べる?」
ショッピングカートを戻しながら、二人はもう一度店内へ戻る。
歩きながらふと手が触れた。
「あっ」と思った瞬間に、航太はリカの手を自然と握る。繋がれた手から航太の体温が伝わってきてあったかい気持ちになった。
リカは航太を見る。
視線に気づいた航太もリカを見る。
「どうした? 何か食べたいものあった?」
「……先輩ってかっこいいですね」
「――っだぁっ、もうっ、リカちゃん! 嬉しいんだけど、嬉しいんだけど……いや、ほんとに、照れるからここでは止めて」
「ふふっ、小野先輩って照れ屋だったんだ。おもしろい」
「おもしろいって……このままかっこいい俺でいさせてくれよぅ」
航太は右手で顔を覆い、天を仰ぐ。手の隙間から覗く頬は心なしか赤くなっているようで、そんな反応が珍しくリカはクスクスと笑った。
「先輩、私、オムライスが食べたいな」
くいくいっと手を引っ張れば「ん、いいよ」と航太は微笑む。
「先輩は食べたいものないの?」
「オムライス大好きだから問題ないよ。さ、行こうぜ」
“航太はオムライス好き”という情報がリカの頭にインプットされる。いつか作ってあげたい……などと考えて、こんな気持ちになる自分を不思議に思った。
店内は混んでいて少し待つことになってしまったが、航太とは話が途切れず少しも苦ではない。店内に通された後もオムライスが運ばれてくるまで結構な時間が経ったというのに、この時間が楽しくて仕方なかった。
「リカちゃん、一口食べる?」
牛タンシチューオムライスを頼んだ航太がスプーンで器用に一口分切ってリカの皿にのせた。三枚ある厚切り牛タンも、惜しみなく一枚リカの皿へのせる。
「え、いいの?」
「いいよ。めっちゃ柔らかいから食べてみな」
「あ、じゃあ私も――」
とリカは自分の皿を見るが、航太にあげられるようなおかずはのっていない。どうしようかと迷っていると、「じゃあ一口ちょうだい」と航太はあーんと口を開けた。
リカは自分が注文したほうれん草とチキンのクリームオムライスをスプーンですくうと航太の口に運ぶ。パクリと食べる航太がゴクンと飲み込むまで目が離せないでいると「うん、美味い」とニカッと笑った。
胸がいっぱいになってそれだけでお腹が満たされていくようだった。