先輩が愛してくれた本当のわたし
蒸し返された過去
何度目のため息か。

リカはトイレの鏡に映った自分の顔を見てうんざりした。
ひとつに結った髪は派手に見えない程度に明るいブラウンに染めたばかり。
それなのに血の気の引いたような青白い顔。

今月は生理が重い。

いつもはピルを飲んで調整していたが、どういうわけか今月は 飲み忘れてしまった。
元々生理不順で重い日が多いことを理由に飲み始めたピル。
今では職業柄飲んでいるといっても過言ではない。

リカの今日の業務はお昼にスポーツジムのインストラクター、午後から子供スイミングスクールの指導だ。
よりにもよって今日は夕方から立て続けに3レッスン入っている。

それなのに、 生理の、それも一番多い二日目にドンピシャで当たってしまった。

(はぁ~、つらっ……)

遅番で出勤してスポーツジムの仕事をしているときはまだ大丈夫だった。
夕方になるにつれて出血量は多くなり、下腹もシクシクと痛み出したのだ。

「生理休暇」というものがある。

使えばよかったけれど、朝の時点では大丈夫だと思ったのだ。
今更使うわけにも、早退するわけにもいかない。
急に代われるほど人員が豊富ではないし、生徒を抱える身で無責任なことはしたくない。

とりあえず多い日用のタンポンを入れて、準備はした。
ピルを飲んでいれば生理日が予測可能なためそれに合わせてシフトを組めたものの、自分の浅はかさに余計ため息が漏れる。

もうすぐ子供たちがやってくる。
その前に、薬を飲んでおこうといったん事務室へ戻った。
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