辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
継母の様子では縁談話はまだ知らなそうだ。
離れていく継母のうしろ姿を見ていると、セーターの袖がくいくいと引っ張られた。
「和泉姉ちゃん、この解き方なんだけどさ」
「あ、そうだったね」
味噌汁を口にしながら横に置いたテキストを見ると、櫂が問題のところを指さした。
そこへ牛乳の入ったカップを持った香織が通り過ぎて、ソファに座る。
「お姉ちゃん、櫂なんてほっといて先に食べた方がいいよ。櫂、お姉ちゃんは疲れているんだからね」
「香織姉ちゃんに聞いてもわからないし」
櫂がムッとした顔で言い返す。
「私はふっつーの公立中学校だから、下手に教えない方がいいのよ」
意味のわからない返しに、私は苦笑いを浮かべる。
「ふ~ん、香織姉ちゃんは勉強苦手だもんね」
「私はバスケットボールがあるから、勉強が苦手でもいいの! 櫂なんて私のボール受けられないでしょ」
いつもこうして弟がバカにするから、姉も意固地になってケンカになるのだ。
「ほらほらふたりとも。和泉が食べられないじゃない」
キッチンから戻ってきた継母があきれたようにふたりをたしなめた。
食事をしつつ櫂に解き方を教えた後、お風呂に向かった。
さっきまでは縁談話の件を忘れていられたが、ひとりになって湯船に浸かりながら思い出して重いため息が漏れる。
離れていく継母のうしろ姿を見ていると、セーターの袖がくいくいと引っ張られた。
「和泉姉ちゃん、この解き方なんだけどさ」
「あ、そうだったね」
味噌汁を口にしながら横に置いたテキストを見ると、櫂が問題のところを指さした。
そこへ牛乳の入ったカップを持った香織が通り過ぎて、ソファに座る。
「お姉ちゃん、櫂なんてほっといて先に食べた方がいいよ。櫂、お姉ちゃんは疲れているんだからね」
「香織姉ちゃんに聞いてもわからないし」
櫂がムッとした顔で言い返す。
「私はふっつーの公立中学校だから、下手に教えない方がいいのよ」
意味のわからない返しに、私は苦笑いを浮かべる。
「ふ~ん、香織姉ちゃんは勉強苦手だもんね」
「私はバスケットボールがあるから、勉強が苦手でもいいの! 櫂なんて私のボール受けられないでしょ」
いつもこうして弟がバカにするから、姉も意固地になってケンカになるのだ。
「ほらほらふたりとも。和泉が食べられないじゃない」
キッチンから戻ってきた継母があきれたようにふたりをたしなめた。
食事をしつつ櫂に解き方を教えた後、お風呂に向かった。
さっきまでは縁談話の件を忘れていられたが、ひとりになって湯船に浸かりながら思い出して重いため息が漏れる。