辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
尚子はダークブラウンに染めたボブの髪を払ってうなずく。彼女は四月から商社勤めで丸の内OLになる。
一方――。
「ごーめーん! 和泉、尚子、すまないっ」
緑と金色の混ざったショートへアの神代明日香が、両手を合わせてテーブルの横にやって来た。
百七十センチある細身の明日香は、アパレルメーカーに内定が決まった後、私と同じくらいの長さの髪をカットして染めたのだ。派手な色がよく似合っている。
目の前に座った彼女に尚子が笑う。
「もうっ、ねぼすけっ。就職したらちゃんと行けるのか心配よ。ひとり暮らしするんでしょ?」
「ねぼすけって、死語じゃない?」
尚子の言葉に明日香は肩をすくめて、彼女の隣に腰を下ろす。そして私にニコッと笑う。
「和泉にモーニングコールしてもらおうかな」
「私じゃなくて、和泉にっ?」
「そりゃそうでしょ。物事にきっちりしていて、学校はもちろん友達との待ち合わせにも遅刻しない品行方正なんだから」
明日香は私に「ねっ」と同意を求める。
彼女のためならモーニングコールくらいなんでもない。けれど、今は自分のことに精いっぱいですんなりうなずけない。
「ん? 和泉、どうした? 冗談だよ? そんな顔をしなくても……」
真顔になった明日香は首をかしげる。代わりに口を開いたのは尚子だ。
一方――。
「ごーめーん! 和泉、尚子、すまないっ」
緑と金色の混ざったショートへアの神代明日香が、両手を合わせてテーブルの横にやって来た。
百七十センチある細身の明日香は、アパレルメーカーに内定が決まった後、私と同じくらいの長さの髪をカットして染めたのだ。派手な色がよく似合っている。
目の前に座った彼女に尚子が笑う。
「もうっ、ねぼすけっ。就職したらちゃんと行けるのか心配よ。ひとり暮らしするんでしょ?」
「ねぼすけって、死語じゃない?」
尚子の言葉に明日香は肩をすくめて、彼女の隣に腰を下ろす。そして私にニコッと笑う。
「和泉にモーニングコールしてもらおうかな」
「私じゃなくて、和泉にっ?」
「そりゃそうでしょ。物事にきっちりしていて、学校はもちろん友達との待ち合わせにも遅刻しない品行方正なんだから」
明日香は私に「ねっ」と同意を求める。
彼女のためならモーニングコールくらいなんでもない。けれど、今は自分のことに精いっぱいですんなりうなずけない。
「ん? 和泉、どうした? 冗談だよ? そんな顔をしなくても……」
真顔になった明日香は首をかしげる。代わりに口を開いたのは尚子だ。