辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
「なんか、いろいろあったみたいよ? 明日香が来たら話すって言ってたから」

「そうなの? 聞くよ、聞くよ。その前にちょっと待って。飲み物買ってくるわ」

 私は心配そうなふたりに申し訳なくて、小さく微笑んだ。

 明日香は遅れたお詫びにと、カフェラテを三つ持ってきた。

「ありがとう」

 大きなサイズのカップは、話をじっくり聞くよという気持ちなのだろう。

「和泉、話してみて」

 尚子に促され、私はコクッとうなずく。

「実は、ふたりだから言うけれど……お父さんの会社がピンチなの」

「ええっ!?」

 前に座るふたりは驚き、食い入るように見つめる。

「本当に……?」

「それは一大事よ」

 尚子と明日香は眉根を寄せる。

「この前、収支決済書を見せられたの。かなりの赤字企業だった。それで、どうにかするために、お父さんから縁談を勧められたの」

「縁談を? それって、もしかして政略結婚しろってこと?」

 尚子が尋ねる。

「そう。その企業から多額の融資を受けて、クレストピアグループを立て直すために。しかもお見合い場所は約一カ月間の豪華客船なの」

「どういうこと? 豪華客船って! ていうか、いくら娘だからって、そんな勝手な話ないわ!」

 明日香が両手に握りこぶしをつくる。憤りをこらえているようだ。

 親身になってくれるふたりの気持ちがありがたい。

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