辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 明日香が困惑し、尚子へも顔を向ける。

「政略結婚だって、もしかしたら幸せになれるかもしれない。ふたりが味方でいてくれるんだもの、なんだって怖くないわ。本当に受け入れられない人だったら考える。そのときは相談に乗ってくれる?」

「……そっか。和泉らしい。今までホテルでバイトしていたのも、櫂くんが後を継ぐまでホテルを盛り立てていきたい一心だったものね」

 尚子が神妙な面持ちでうなずいた。

「相談に乗ってくれる?なんて聞いて、水くさいな。私たち親友じゃん。和泉が困っているときは助けたい。私、ひとり暮らしするし、行くところがなかったら転がり込んで」

 明日香がポンと自分の胸を叩く。

「なにかあったら私にも手伝わせてね」

 尚子も体の前で両手を握りしめて、〝がんばれ〟のポーズをつくる。

「ふたりともありがとう。心強いわ」

 前向きに考えて、政略結婚の相手と会ってみよう。合わないと思ったら父に気持ちを打ち明けて、それで勘当されることにでもなっても彼女たちがいてくれる。

「じゃあ、ショッピングモールでぶらぶらして、それからご飯に行きますかっ」

 明日香の提案に私たちは賛成して、コーヒーショップを後にした。
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