辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
二、ラグジュアリーなクルーズ船でのお見合い
年が明けた一月中旬の金曜日。自宅からタクシーに乗って、豪華客船が停泊しているという横浜の大さん橋へ向かった。

 ひとりになって、昨晩の継母との会話を思い出す。

『和泉、会社のために自分を犠牲にする必要はないのよ?』

 父の考えに継母は反対し、異議の申し立てもしてくれた。けれど、父は考えを曲げる人ではないので、継母の意見は聞き入れてはくれなかった。

 私の気持ちを考えてくれる継母に感謝をしつつも、この縁談で会社が助かるのならと覚悟を決めた。

 人生は長いんだから、万が一、結婚生活が失敗してもいくらでもやり直せると、前向きな気持ちでいる。

 これから豪華客船で縁談相手に会うので、今は緊張感でずっと心臓はドキドキしていて落ち着かない気分だ。

 縁談相手の写真はシュレッダーにかけてしまったので、どんな人かまったくわからない。

 相手の名前は才賀(たくみ)さん。父が何度もうれしそうに話すのは、世界の海運業界でもトップクラスの才賀ホールディングスの御曹司だということ。

 海運業なんて畑違いでどんな職種なのか気になったが、才賀さんの写真を目にする可能性を考えてネットなどでも確認しなかった。

 彼が私に会いに来るから、部屋で待つようにと父から言われている。

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