辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 船内のスタッフは主に日本人だと案内には書かれてあった。会話は英語かもしれないと思っていたので少しホッとしたけれど、英会話についてはホテルウーマンになるにあたり必須だったため、不自由しない程度には習得している。

「ありがとうございます」

 スタッフに誘導されて保安検査場へ歩を進め、出国手続きをした。

 そして晴れて乗船となる。

 寒いが甲板にはすでに乗り込んでいる乗客が出ていて、見送りの人たちへ手を振ったりしている。

 これから向かう国は半袖で過ごせるので、往路のみコートが必要なだけになる。

 乗船後、入ったところの4デッキにレセプション――つまり受付カウンターがあり、待機していたスタッフにクルーズ参加証を見せると、案内板で部屋への行き方を教えられた。

 初めて足を踏み入れる船内は最高級のホテルみたいだ。

 乗客用の個室があるのは7デッキから10デッキまでで、数字が大きいほど上階で景色がよく、さらには広くてラグジュアリーな造りになっているらしい。

 私の部屋は10デッキ。ということはかなりの金額だろう。

 こんなに投資をして、果たしてお見合いは成功するのか不安になってくる。

 エレベーターに乗り込み、10デッキで降りて船の後方へ向かう。ロイヤルブルーの絨毯が綺麗だ。

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