辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 調べたところによると、船内にはレストランがいくつもあり、劇場や映画館、ジムにプールが二カ所にスパなどもある。一日中飽きることなく楽しめそうだ。

 飛行機で海外へ飛ぶのではなく、クルーズ船を選ぶ乗客たちにとっては、そういったものに興じるのが醍醐味なのだろう。

 廊下を挟んで両サイドにナンバープレートがかかったドアが並んでいて、自分の部屋番号1030を見つけ、カードキーでロックを解除した。

 室内へ入って開口一番「わぁ~」とうれしい声が出る。

 みなとみらいの景色が飛び込んできた。

 ベッドがふたつ鎮座し、反対側には三人掛けのロイヤルブルーとホワイトのストライプのラグジュアリーなソファがある。ベッドとソファの間には小さめのテーブルが置かれ、床から動かないようになっていた。海が荒れたとき家具が動かないように、止められているのだろう。

 窓の外にはデッキがあって、白の丸テーブルとパイプ椅子が二個用意されている。

 あそこに座って海を見るのも素敵ね。

 才賀さんはいつやって来るのだろうか。その考えが思い浮かぶと、胸がドキドキしてくる。

 腕時計へ視線を落とす。時刻は十三時三十分で、出航は十五時だ。

 廊下を挟んで反対側は国際客船ターミナルの方で、人々が見送る風景が部屋から見られるだろう。

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