辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 パラパラとリーフレットをめくっていると、さっそく今夜はウエルカムショーが劇場であるらしい。

 船内の情報を調べながら、実は内心、気もそぞろだ。

 出航しているんだから、いつ才賀さんが現れてもおかしくないよね……。

 落ち着かない気分でソファから立ち上がり、ドアを開けて廊下をキョロキョロするが、数人の老齢の男女がエレベーターホールに向かっているのが目に入っただけだ。

 デッキは寒いが、船内は半袖でもいいくらいに暖房が効いている。

 ドアをパタンと閉めてソファへ戻る。

「困ったな……」

 これではどこへも行けない。留守の間に才賀さんが来たら困るからだ。

 そういえば、彼が私の部屋番号を知っているってことは、もしかして才賀さんがこのクルーズの代金を支払ったのではないか。

 視線がふたつのダブルベッドに向き、ブルッと震える。

 まさか、同じ部屋を使うわけないよね。

 まったく見知らぬ男女を同室にさせてもいいとは、さすがに父が了承するはずないわ。それに同じ部屋だとしたら、すでにここに来ているはず。

 横浜を離れてから二時間が経っていた。

 私がこの豪華な部屋なのだから、才賀さんももちろん10デッキの部屋だろう。

 そうだわ! レセプションで聞けばいいんだわ。入れ違いになったとしてもかまわない。

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