辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 そう思案し部屋を出ようしたとき、部屋の電話が鳴って心臓が跳ね上がる。

 もしかして才賀さん?

 ベッドサイドテーブルにある電話のところへ戻って、ドキドキしながら受話器を上げた。

「も、もしもし……」

《こんにちは、レセプションカウンターでございます。上原和泉様でお間違いありませんでしょうか?》

 女性の声に暴れた心臓は治まっていく。

「はい。上原和泉です」

《才賀様よりご伝言を承っております。お手数おかけしますが、こちらへいらしていただけますでしょうか?》

 伝言……? どういうことなんだろう……?

「わかりました。これから向かいます」

 ちょうど行こうとしていたところだ。受話器を置くと、部屋を出てエレベーターで4デッキのレセプションへ向かった。

 レセプションカウンターには、エメラルドグリーンの制服に身を包んだ女性が数人いて、乗客の対応をしている。

「Have a nice trip!(旅行を楽しんでくださいね) ご用件をお伺いいたします」

〝Have a nice trip!〟というのは、スタッフの最初の挨拶のようだ。

「1030号室の上原和泉といいます。伝言があると連絡いただきました」

「上原和泉様、少しお待ちください」

 女性スタッフはカウンターの中のうしろの引き出しから白い封筒を取り出して、私に手渡す。

「こちらでございます」

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