辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 流暢な英語が聞こえ、通路に立つ人に顔を向けた。

 大柄な外国人男性と同じくらい高身長で、すべてのパーツがバランスよく、整った顔立ちの人だ。

 日本人……?

 外国人男性は納得できないというような表情を浮かべる。

「本当に? バスを降りたときから見ていたが、彼女はずっとひとりだった」

 疑う外国人男性だが、東洋人の彼はふっと端整な顔に笑みを浮かべて私を見る。

 今まで出会ったことのないかっこいい人だ。

「君はどうしたい?」

 日本語で尋ねられ、やはり彼は日本人なのだとわかった。外国にルーツを持っていそうな顔つきで、かなりの美形だ。

 彼は私を助けてくれているのだろう。

 どうしたい?と聞かれても、二時間も図々しいこの外国人男性と一緒にいたくない。

 席から離れたいが、外国人男性が立ち塞がっているので動けず、助けてくれようとしている彼に向かってにっこり笑う。

「レストルームが混んでいたの? 遅かったのね!」

 外国人男性にわかるように英語で言った。

「なんだ。男連れか」

 ようやく外国人男性はあきらめて、前の空いている座席へ向かった。

「ありがとうございます」

 通りすがりで助けてくれたのだから立ち去ると思っていたが、彼は隣に腰を下ろした。彼が座ってしまったので、私も困惑しつつ着座する。

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