辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 新年度の新入社員も三十名の入社が決まっており、まさかそこまで危機的状況だとは想像もしていなかった。

「そこでお前の力を借りたい」

「え……? 私の力? 私なんてなんの力も持っていないわ」

 意味がわからず戸惑うばかりだ。

「お前に縁談話がきている」

「ええっ? え、縁談話?」

 ギョッとなり目を見開いた。

「言わば、政略結婚だ。相手は世界の海運業界でもトップクラスの『才賀(さいが)ホールディングス』の御曹司だ。彼との結婚を条件に、わが社に融資をしてくれる」

「そんな……私はまだ二十二歳よ? 働きたいし結婚なんて……」

「好きな男などいないんだろう?」

 女子高、女子大と進み、大学生活は授業とアルバイトばかりで、今まで個人的に男性と交際したことはない。中学生のときに、グループで遊園地やボウリングなどで遊んだくらいだ。

「それはそうだけど……」

「お前の結婚がわが社を助けるんだ。ついては、来年の一月中旬から豪華客船のツアーに参加し、御曹司と仲よくなってほしい」

 豪華客船のツアー? 御曹司と仲よくなってほしい……?

 まさか、洋上でお見合いってことなの?

「和泉のわがホテルへかける熱は十分承知している。どうかクレストピアグループのために、見合いをしてほしい」

「お父さん……」

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