辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 髪の毛を洗い終え、体のボディソープの泡をシャワーで洗い流しているとき、いつの間にか鼻歌を歌っていることに気づく。

 私……コウさんとこれから食事だから心が浮き立っている……。

 その気持ちは否定できない。

 コウさんとのことは昨晩悲しくなってずっと考えた。

 この豪華客船の旅だけ……割りきって彼と接するのだと。

 見知らぬ男性と結婚しなければならないのだから、帰国までのアバンチュールくらい許されるのではないだろうかと。



 十八時になる前、ペールグリーンのパーティードレス姿の私は、待ち合わせの場所へ到着した。髪はポニーテールにしたので、動くたび左右に揺れている。

 入口にブラックフォーマルのコウさんが立っているのが目に入った。

 パリコレのモデルのように高身長なので、ブラックフォーマルがよく似合っており、立っているだけで輝いて見える。

 コウさんの前を通り過ぎる女性たちは必ず見入っている様子だ。

 極上の彼には女性を惹きつけるオーラがある。だから、あの由香と呼ばれた女性があきらめられないのもわかる気がした。

「コウさん、お待たせしました」

 彼の前に立ち、にっこり笑う。

「和泉、綺麗じゃないか」

「いちおうドレスアップすれば私でも見られるんですよ」

「いや、君はもともと美しい」

 コウさんがまじめな顔つきになるから照れくさくなる。

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