辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】

「知っている。着席するときに見えたよ。そろそろ出てコーヒーでも飲みに行かないか」

　そう言って、彼女に見せつけるためか私の手を握る。

　デザートのときにもコーヒーは出たが、ゆっくりもう一杯飲みたいようだ。

「それとも早く戻らないと心配される？」

「いいえ。大丈夫です」

　椅子から立ち上がった彼は私を立たせると、会場を後にした。



　数時間前に入ったカフェで飲み物をもらい、外へ出る。時刻は二十一時を回ったところだ。

「んー、気持ちいい風っ！」

　二十三時まで使えるジャグジーでくつろぐ、水着姿の老齢の男女が四人ほどいる。

「楽しそうですね」

「ああ。入った？」

「プールとジャグジーはまだ」

「明日、入ろうか？」

　コウさんの提案に一瞬驚いたが、すぐに「はいっ」とうなずく。

　せっかく豪華客船に乗っているのだから楽しまなくてはもったいない。

「午前中仕事があるから、終わったら。ランチも一緒に食べよう」

「お仕事忙しいんですね。午後遊んじゃっても大丈夫なんですか？」

「問題ない」

　コウさんは麗しく笑みを浮かべ、アイスコーヒーを口にした。



　翌日、約束までの時間部屋でゆっくりして、待ち合わせのイタリアンレストランへ赴いた。