辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 私はペコリと頭を下げて、部屋に歩を進めた。



 早朝、シドニー港に近づくのを部屋のテラスから眺めていた。

 オペラハウスが徐々に大きくなってくる。シドニーの町並みはケアンズとは違って都会だ。

 シドニーにいるのは一日しかなく、今夜出港する。

 ブッフェ式の朝食を済ませて、部屋に戻りメイクをしてからコウさんとの待ち合わせ場所へ向かう。

 服はサイパンで着た白いサンドレスにした。足もとは動きやすい白のスニーカーだ。

 二分ほど早く待ち合わせの場所に着いたのに、コウさんの姿がすでにある。

「コウさん、おはようございます」

「おはよう」

 彼も歩きやすいスニーカーで、それに合わせた白のポロシャツ、グレーの七分丈パンツはロールアップしている。

 コウさんの服は何気にブランドもので、おしゃれなのだろう。

 旅行会社の給料は平均的だから、大半を衣服につぎ込んでいるのかと思ってしまう。

 けれど、約一カ月という長期の視察を任されているということは、旅行会社でも地位が上の人なのかもしれない。

 私たちはクルーズ船を下りた。

「まずは、セント・メアリー大聖堂へ行こうか。ツアーに入っている観光地だ」

 ツアーバスは九時三十分に七台が出発していった。

「行きたいです」

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