きら×うさ〜想いがつながる7日間〜
「ねぇ、遠足に向けて特訓しない?」
ホームルームが終わり、健康診断の時間に。
男女に分かれて保健室前の廊下で待っていると、鬼丸さんがこそっと耳打ちしてきた。
「特訓? 何の?」
「そりゃあご飯作りのだよ!」
ご飯……もしかしてカレー作りの特訓ってこと?
「実は私、料理苦手でさ。こっちに来てからずっと食堂に頼ってて。あまり翔太朗にいいところ見せられてないの。だから、腕を磨いて胃袋を掴みたいんだ」
胸の内を話し始めた鬼丸さん。
その気持ち、わかるなぁ。
私も、歓迎会といい、本の交換といい、残念な姿ばかり見せてるもん。
ただでさえ頭脳レベルに差があるんだ、少しはかっこいいところを見せたい。
「どうかな?」
「もちろん! 私も不安だったから練習しようかなって思ってたんだ。一緒に頑張ろう!」
「本当⁉ ありがとう!」
誘いを受けると、ぎゅっと手を握られた。
火曜日の午前9時。薄暗い静かな廊下にて、パートナーの胃袋を掴もう作戦が始まった。