きら×うさ〜想いがつながる7日間〜
ニヤリと笑った彼に肩を組まれ、心臓が嫌な音を立てる。


「ちがっ」

「みんな、こいつとは関わんないほうがいいぜ。会社倒産したくせに、未だに御曹司名乗ってる嘘つきだからな」


否定しようとするも、遮られてしまった。
どよめくクラスメイト達に視線を移す。

戸惑い、動揺、落胆。
ほんの数分前まで輝きに満ちていた瞳の色が、一瞬にして塗りつぶされていく。

あぁ、またこうやって離れていってしまうのか──。


「紫月くんっ!」


諦めかけたその時、息を切らした彼女が教室に入ってきた。


「大丈夫? 薬持ってきたから、こっち来てっ」


答える隙も与えず、俺の手を引いて駆け出した菜々夏さん。
保健室かと思いきや校舎裏に連れてこられた。


「薬って何? お腹の? 元気だから平気だよ」


息切れしている彼女にそう言うも、横に首を振っている。

何が違うんだと顔を覗き込むと──。


「心が……大丈夫そうじゃなかった」


核心をつかれて目を大きく見開いた。

どうして……。
昔からあまり感情を表に出さないタイプなのに……。
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