阿弥陀仏の呪い
私たちは必死でした。

目前のアミダさまの呪いにおびえ、貪るように書物をめくりました。

しかし、調べれば調べるほど、アミダさまの呪いの強さばかりが分かってくるのです。


たとえば、こんな感じです。


「ねえ? 確か吸血鬼は流れる川を渡れないし、招待されない家には入れないよね。アミダさまにも、そういった安全地帯があるんじゃないかしら」

「いいえ。ここを見て……」


サクラちゃんが指し示す箇所には、「無量光」「無辺光」と書かれていました。


「これはなあに?」

「どうやらアミダさまは無量光で無辺光らしいの」

「さっぱりわからなあい」


カエデちゃんのために、サクラちゃんが懇切丁寧に説明したところによると……


たとえば、太陽は巨大な光で地球を照らします。

しかし、太陽の光は永遠かというとそんなわけもなく、太陽の光が届く範囲は有限です。

また、太陽の光に照らされる昼間でも、光あるところには影ができます。


ですが、アミダさまは違うのです。

アミダさまの放つ光は圧倒的で限りがなく(無量光)、影すら作りません。

そして、世界中の隅々までを照らしてしまうというのです(無辺光)。


「そんな! じゃあ、どこに逃げてもダメなの!?」

「残念ながら、そういうことね……」
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