阿弥陀仏の呪い
「なあ、お嬢さん。あんたがやったんだろ? ハイっていえよ、ハイって!」


私は返事を返す代わりに、人差し指を一本立て、それを刑事へと示しました。

ハァ……?

という顔をされます。

ですが、私自身としても、これがどのような意味なのか分かりませんでした。

ただ、彼の質問に対し、こうして返すことがベストであるという、ある種の確信があったばかりなのです。


隣にいた若い刑事が、くすっと笑って私の真似をし、人差し指を一本立てました。

私もくすっと笑って、

――どうして、そうすることが正しいのかは分かりませんでしたが

彼の指を握り、

ぐいっと90度傾けると、

指はあらぬ方向へと折れ曲がっていました。


「ギャアアアアア!!!!!」

「て、てめえっ! な、なにをしやがる! おいっ!」


慌てる彼らに対し、

私はもう一度、くすっと笑って、

人差し指を一本立てたのです。


それがどのような意味かは分かりませんでした。

ただ、それが正しいという、ある種の確信が、

私の中にあったのです。

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