おじさんフラグが二本立ちました


パジャマを着替えて顔を洗う
クローゼットの間仕切りから出ると


「きれいな色のワンピース
よくお似合いですよ」


ばあやが褒めてくれた


「ありがとう。ばあや」


いつ退院と言われても良いように
キャリーバッグを広げて荷物をまとめる

一つに詰め込んで閉じると入り口に置いた

母から取りに来るとメッセージが入っていたから持って帰ってもらう


「お母さんが来るの
何か欲しいものあれば頼むけど」


「来てくれるだけでいいよ
何も要らない」


ソファに座って携帯電話をチェックしていると看護師長さんが迎えに来た


「ちょっと行ってくるね」


院長室に入ると院長はノートパソコンをコチラに向けた


脳の絵と血管の絵を見ながら
片頭痛の原因と症状の説明をしてくれる

ホルモンバランスが多く関係する女性

食べ物はチーズ、チョコ、赤ワイン
強い香りや光の刺激、急な温度変化も
引き金となることがあるらしい


肩凝り頭痛と違って
身体を動かすと更に症状が悪化する

今朝の私はストレッチまでして症状を悪化させたことが分かった

片頭痛は専用の薬でしか症状の回復はできないけれど
原因を知ってると上手くつき合っていけるらしい


「今回は食べ物は考えられないから
ストレスかな?慣れないことしてるし」


「そうだね。とりあえず薬を処方おくから
常備しておくと良いよ」


「ありがとう先生」


「まだ先生だ」


「だって先生だもの」


クスクスと笑った院長にまた救われた


「彬の退院いつになる?」


「みよちゃんとまだご飯行きたいから延ばそうと思ってる」


「家に帰りたいんだけど」


「だよな、じゃあ午後から退院してもらうよ」


「やった」


立ち上がって頭を下げると


「その代わり・・・」


院長が止めた


「・・・ん?」


「その代わり、家に帰ったら
二人きりで食事に行こう」


「でも」


「これは彬の退院の交換条件なんだからね」


返事もしないのに食事会が決まった


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