ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 尋ねると、二人は同時に笑った。それこそ、お腹を抱えるようにして。

「失礼いたしました。この絵は、そのような大それた絵ではありません」
「そうなのです。ただの素人の手慰みというやつです」

 ジーク、それからシュッツは、そう言ってからもまだ笑っている。

「チカ。その奥が居間です。どうぞ」

 ジークが手振りで奥を示してきた。

 もう一度絵を見た。
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