ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 軽く絶望している間に、彼の両腕が伸びてきた。それもオズオズ感がすごい。

 ようやくその両腕がわたしの体にまわった。そして、やはりオズオズしながらわたしを自分の方へと引き寄せ始めた。

 こんなシチュエーションじたいが初めてなのでよくわからないけれど、抱きしめられるってこんなにジレジレするものなのかしら? こんなに時間がかかるものなの?

 小説などでは、「サササッ」というような描写になっているけれど。

 体感的には大分と経ったあと、やっとわたしの顔が彼の分厚い胸板にくっついた。

 って思った瞬間、ものすごい圧がかかってきた。
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