ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 馬の蹄の音でハッとした。

 振り返ると、少し距離を置いたところに白馬が立っている。その少しうしろには、二頭の馬が立ち止まってこちらを見つめている。

 白馬からその騎手がさっそうと飛びおりた。そして、こちらに向って来た。

 惚れ惚れするほど将校服姿の似合う、渋い美貌をしている。

 やわらかい笑みをたたえるその美しい顔は、敵であったり害をなしたりという存在ではないことをあらわしている。

 彼は、こちらが恐怖心や不快感を抱かない距離を置いて立ち止まった。
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