ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
「ああ、この髪と瞳だな? ザックス家の象徴だ。これのお蔭で目立って仕方がない。戦場では、(まと)になりやすいのだ。想像出来るだろう? 他の将軍より目立つから、槍やら矢が集中する。だから、おれは他の将軍たちだけでなく、部下たちからも絶大な人気を誇っている。おれのうしろにいれば、かならずや助かるから」

 おどけたように言った彼の様子が可笑しくて、つい笑ってしまった。

「その笑顔がいい。少しは緊張がとれたかな? 金色に輝く(まと)が、姫を案内仕る」

 クラウスが指を鳴らすと、彼のうしろで控えている将校の一人が手を上げた。

 向こうの方から馬車が一台やって来る。
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