ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 そのタイミングで、皇帝がカップを持った。

 そういえば、人前でメガネを外したことがないような気がする。

 そんな機会、あるわけなかったのですもの。

 両手でメガネのつるをつまみ、そっと外した。

 皇帝は何気ない感じでカップに口をつけているけれど、わたしを見つめているのを感じる。

 どうせひどい顔だから、笑ってもらうのも一興かもしれないわね。
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