ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 彼は、しあわせそうな表情になっている。

 ジークとシュッツを見ると、二人とも涙ぐんでいる。

 素敵だわ。母親のことはともかく、父親はこんなに想ってくれているのだから。

 亡くなったわたしの両親は、二人でわたしを慈しみ育ててくれたに違いない。

 残念なことに、わたしはそのことを覚えていない。
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