ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 ああ、なるほど。

 ラインハルトの説明で、どうしてわたしがここにいるのかが理解出来た。

 わたしなら、この国にまったく関係がない。一応、亡国の王女だから、血筋的には悪くない。だけど、あくまでも悪くないのは血筋だけ。

 いまさらその血筋が役に立つのかというとそうではない。実際、これまでたらいまわしにされてきたすべての国々で、結局は「利用価値ゼロ」認定されてきた。

 そんな「利用価値ゼロ」のわたしでも、ひねくりだしたらなんらか役に立てるのかしら。

 強いていうなら、わたしは若い。それに元気だけが取り柄である。これら二つは、自信がある。皇帝ラインハルトとの子を産むことだってまったく問題がない。
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