ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 つぶやいたその声は、よくきこえなかった。

「い、いや。なんでもない。明日は早い。もうそろそろ眠ろう」
「そうですね」

 彼は、わたしの方に手を伸ばしかけて途中でやめた。

 そして、気弱な笑みをその渋い美貌に浮かべた。
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