ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 ヨルクの娘はわたしに一瞥すらくれず、ラインハルトに駆け寄ってドレスの裾を上げて挨拶をした。それから、べったりくっついておしゃべりを始めた。

 たしかに噂通りの美女よね。だけど、才女というのはどうかしら。

 男性と権力に媚びるその姿は、あきらかにお(つむ)が弱いか鈍いかしていそう。

 だけど、単純すぎていっそ清々しいわ。

 彼女、だれかがいる前ではいい娘ちゃんを気取っているみたい。だけど、使用人とか気に入らない人の前では態度が豹変する。いま流行りの小説に出てくる悪女と同じね。
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