ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 すべてが一瞬である。

 侍女が盛大に転びそうになった瞬間、他の侍女や執事たちが持ち場から駆けだそうとした。

「大丈夫だった? ケガはない? 膝、床にぶつけなかったかしら?」

 体が反射的に動いていた。その為、侍女が床に倒れこむまでに彼女を抱きとめることが出来た。

「あらあら。もう少しで妃殿下がお茶まみれになるところだったわ」
「ほんとうよね。妃殿下だけならいいけれど、こちらまでとばっちりを受けるのは勘弁してほしいわよね」
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