ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 テーブルは、真鍮製でバルコニーに置くにしては大きい。真ん中にはロウソク立てが置いてあり、三本のロウソクがテーブル上を照らしだしている。

 バルコニーの手すりの向こう側には、城壁がボーッと浮かび上がっている。ところどころ灯火が見える。

 見張りの兵士が配置されているのに違いない。

「本来なら、前菜からということになるが、なにせ兵士の作る荒っぽくってシンプルな料理だ。調理場からここまで運んでいる間に冷めてしまっているし、味も保証出来ない。だが、調理兵たちがきみの為に心をこめて作ったスペシャルメニューだ。楽しんで食ってくれたら、彼らもよろこぶだろう。もちろん、おれもだが」
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