ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 クラウスは、葡萄酒の瓶を持ち上げながら言った。

 わたしの為に……。

 その言葉は嘘ではないはず。なぜか嘘や誇張だとは思えない。

 だからこそ、グッときてしまった。

 それを隠すようにグラスを持ち上げたけれど、手が震えている。

 彼に葡萄酒を注いでもらう間、それがバレやしないかと気が気でなかった。
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