ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 わたしを見つめたままで反応のない彼に呼びかけた。

 えっ、涙ぐんでいるの?

 彼の目尻に涙が溜まってるように見えるのは、きっと灯りのせいね。

「ああ、すまない。この辺には、夜にだけ咲く花があってね。おれは、その花粉のアレルギーなんだ。とにかく飲もう。いいかげん腕が疲れた」
< 47 / 759 >

この作品をシェア

pagetop