ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか？

「驚いたな」
「ああ、驚いた」

　わたしたちだけになると、シュッツとジークが顔を見合わせて肩をすくめた。

「義母(はは)上の励ましで、やる気なしなし、ついでに自信なしなしのグラーツ将軍にスイッチが入ったようです」
「彼はいつもおとなしく言いなりで意見を言うこともないけれど、今回は違うかもしれませんね。これは、こちら側にひきこめるかも。義母(はは)上のお蔭です」