ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 よーし。

 決意したら即行動。両手で骨の部分をつかむと、思いっきりかぶりついた。

 肉汁が口の中で広がった。だけど、肉にすりこんでいるハーブや塗っているソースのお蔭で、想像していたよりかはずっとさっぱりしている。

「お肉もすごく美味しいです。これは、癖になる味ですね」

 一応、感想を述べたけれど、その後は一言も口をきかなかった。

 骨までしゃぶり終わるまで、二人とも無言で食べ続けた。
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